【考察】Substackにおける相互フォローキャンペーンの是非について考える
相互フォローキャンペーンが致命傷となる可能性も。Substack独自のアルゴリズムから見る思想と、目指すべきポイント。
まず冒頭で述べておくが、相互フォローキャンペーンをやっている人を非難したり批判するつもりは全くない。この記事は私が相互フォローキャンペーンをやらない理由とその背景となるアルゴリズムについて書いているだけである。
熟孝したが、Substackの相互フォローキャンペーンを、私はやらないことにした。自然とフォロワーや購読者が増えるような良いコミュニケーションに努めることにする。
Substackで「相互フォローしませんか」という誘いを最近よく見るようになった。Notesのコメント欄、DM、ハッシュタグつきの投稿。X時代の景色がそのまま持ち込まれている。
私はやらないことにした。理由を順番に書いていく。
Substackは「購読者を集めるプラットフォーム」であって、フォロワーを集めるプラットフォームではない
最初にここを押さえないと、Substackの打ち手はすべて方向を間違える。
Substackには「Follow(フォロー)」と「Subscribe(購読)」という2種類の関係がある。フォロワーはSubstackアプリ内のNotes(ノーツ。Substack版のSNS的タイムライン)であなたの投稿に触れる人。Subscribeした購読者は、あなたが書いた記事がメールボックスに直接届く人だ。
Substackがプラットフォームとして届けようとしているのは、ニュースレター。つまりメールボックスに届く長文の発信物だ。フォロワーには、ニュースレターはメールでは届かない。Notesのフィードに記事の存在が流れるだけで、メールボックスは開かれない。
ここを理解すると、Substackの設計思想がはっきり見える。目指すべきはメールボックスに直接届く購読者であって、Notesフィード上で名前を見かけるだけのフォロワーではない。フォロワーは「購読者になる手前の段階」として価値がある。これからニュースレターを受け取ってくれるかもしれない、その入口だ。価値はある。ただし、入口は入口として扱うべきで、入口の数を競う場所ではない。
そして、入口の質は、その手前のコミュニケーションで決まる。Notesでまともな投稿をする、まともなリプライを返す、まともに他の書き手の仕事を読む。これを積み重ねた結果として、その投稿に反応してくれた人が「この人の長文も読みたい」と思ってフォロワーになり、そこから一部が購読者に変わっていく。
相互フォローキャンペーンの問題がここだ。
「フォローし合いましょう」で増えたフォロワーは、あなたの文章に反応してフォローしたわけではない。フォロー返しという取引でフォロワーになっただけだから、Notes上のあなたの投稿にも反応しないし、長文記事を読みに来ることもない。当然、購読者にも変わらない。入口の数は増えるが、入口の質は崩れる。
そして、ここから先で書く通り、Substackのアルゴリズムは「入口の数」ではなく「入口の質」を見ている。
アルゴリズムはフォロワー数を見ていない
ここから話は技術的になる。だが判断材料として核心なので、丁寧に書く。
Substackは2025年から2026年にかけて、推薦システムを大きく作り直した。SubstackのHead of AI & ML EngineeringであるMike Cohenが2025年10月に公開したテクニカルな解説によると、従来の「two-tower」と呼ばれる静的なマッチング方式から、「sequential modelling」と呼ばれる、読者の行動を時系列の物語として読む方式に切り替わった。読者がいつ何を読み、いつ離脱し、いつ次のクリックをしたか。その一連の流れから「この読者にとって自然な次の一手は何か」を予測する設計だ。
このアルゴリズムが最大化しようとしているのは購読と有料転換であって、エンゲージメントでも滞在時間でもない、とCohenは説明している。広告ではなく購読料の10%を収益源とするSubstackにとって、アルゴリズムが報いるべきはエンゲージメントの量ではなく購読への転換だからだ。
これがXやInstagramと根本的に違うところで、Substackのアルゴリズムは「あなたのフォロワーが何人か」をほぼ見ていない。見ているのは比率。あなたの投稿に対して、どれだけの割合の人が反応し、購読まで進んだか、その比率だ。
ここに相互フォローキャンペーンが致命的に効いてくる。
フォロワー数が増えれば増えるほど、分母が大きくなる。相互フォローで集めたフォロワーはあなたのコンテンツに本気で関心があるわけではないので、ほぼ反応しない。反応の絶対数は変わらないのに、分母だけが膨らむ。結果、エンゲージメント率は下がる。アルゴリズムは「このアカウントは大きいけれど質が低い」と判定する。
実際にこれを実証した記事が2026年3月に出ている。あるSubstack運営者が、長期間反応のない購読者400人をリストから削除した。すると数時間後に投稿したNotesのリーチが、前週の同種のNotesと比べて測定可能なレベルで高くなった。本人いわく劇的な変化ではないが、確かに上がった、と。理由はシンプルで、分母が小さくなったぶん比率が回復し、Substackの内部スコアが上がったから。
相互フォローキャンペーンは、これとまったく逆方向のことをしている。反応しない数字を意図的に注入して、自分のスコアを下げに行っている。
Substackは「フォロー上限」を公式に設けている
もう一つ、相互フォローを打ち手にする人がほぼ知らない事実を書いておく。
Substackのヘルプドキュメントに、こう書かれている。Substackは1ユーザーが「フォローできる人数」にシステム上の上限を設けている。スパムを防ぎ、インタラクションの質を維持するためだ、と。
つまりプラットフォーム側は「相互フォローを大量に積み上げる行為」を、当然のように想定済みの行為として扱い、ガードレールを引いている。X時代に通用したフォロー戦略を、Substackはそのまま受け入れる構造になっていない。
これだけでも、相互フォローを長期戦略の柱にする合理性はない。
Substackで本当に効く動線は「相互推薦」と「戦略的Restack」
ではSubstackで「他の発信者と組んで成長する」やり方はないのか。ある。ただし相互フォローではない。
一つはRecommendation(推薦)機能。Substackには、新規購読者が登録した直後に「この発信者が信頼している他のSubstackも見てみますか」という導線が標準で組み込まれている。信頼する書き手を3つ4つ推薦リストに入れておくと、彼らがあなたを推薦リストに入れてくれることがある。そして、彼らの新規購読者の一部が、あなたの購読者として直接流れてくる。フォロワーではなく購読者、つまりメールボックスに直接届く読者だ。
もう一つはNotes上の戦略的なRestack(リスタック。他人の投稿を自分のタイムラインに再共有する機能)。Substackのアルゴリズムは「あなたがRestackした書き手」と「あなた自身」のオーディエンスが重なると判定する。すると、相手のフォロワー側のフィードにあなたの投稿が露出するようになる。
ある運営者が2025年に行った実験では、自分のNotesに他の書き手を推薦する文言を入れたところ、再生数が1300、4000と一気に伸びた。ただし、その推薦Notesから自分のプロフィールを見に来た人は4人と6人。Substackのアルゴリズムは「他人を推薦する行為」を強く増幅するが、その結果として自分のフォロワーが増えるわけではなかった。増えるのは推薦された相手の購読者だった。
Substackで成立するのは「相互フォロー」ではなく「相互推薦」だ。相手の購読者を増やすことで、相手があなたを推薦してくれるようになる。フォロワーという数字を交換する遊びとは、構造が根本的に違う。
なぜ相互フォローキャンペーンが生まれてしまうか
ここからは私の見立てを書く。
日本のSubstackユーザーはまだ少ない。少ないからこそ、X時代に成功体験のある人たちが、その成功体験のままSubstackに入ってくる。Xではフォロワー1万人を作ることが資産形成の入口だった。だからSubstackでもフォロワーから集めようとする。
だが、Substackは2017年に「アルゴリズムによる注意経済からの離脱」を掲げて生まれたプラットフォームだ。注意を奪い合うSNSの構造そのものに対するアンチテーゼとして設計されている。広告ではなく購読、フォロワーではなくサブスクライバー、滞在時間ではなく定着率。この基本設計を理解せずにX的な打ち手を持ち込むと、プラットフォームの設計とぶつかる。プラットフォームと喧嘩しながら成果を出すのは、極めて非効率だ。
相互フォローを誘ってくる人がいたら、その人は親切心からそうしているのかもしれない。だがその親切は、あなたのSubstackアカウントのアルゴリズムスコアを下げ、購読者には1人も変わらず、Substackがガードレールを引いている挙動に近づける効果しか持たない。
本当に申し訳ないのだけれど、相互フォローキャンペーンに参加しないことにした。
Substackで自分の読者を育てるためにやることは、シンプルだ。Notesで中身のあるコミュニケーションを積み重ね、その結果として自然にフォロワーが増え、その一部が「この人のニュースレターを受け取りたい」と購読者に変わっていく。そして、信頼している他のSubstackをRecommendationに登録し、Notesでは雑なリストではなく中身のあるRestackをする。
フォロワーの数を交換し合うことに時間を使うのか、まともなコミュニケーションを積み重ねて購読者を増やすのか。どちらを選ぶかで、1年後の手元に残るものはまったく違う数字になるだろう。
もともと私自身、SNSにおける数字作りは好きではないのだ。フォロワーの数も、インプレッションも、自然と派生することを喜びに感じるタイプなのだ。Substackというプラットフォームの特徴からも、本当に申し訳ないのだけれど、相互フォローキャンペーンには参加しないことにした。






落合さん
はじめまして!
自分も最初から相互フォロー企画やってないですが、それでもフォロワーや購読者は着々と増えてます。ありがたいことに。
おかげで、キャンペーンで集まった方々よりもアツゥイ仲間が出来つつあると感じています。
キラキラした方々をすごいなーと思いながらも
焦らず自分のペースでやっていこうと思い留まってよかったです!