Substackのアルゴリズムは「滞在時間」を見ていない。Notesで読者が増える本当の理由
他のSNSと目的関数が違う。Mike Cohenが明かした設計思想と、日本の書き手が取るべき5つの判断基準
Substackで真面目にNotesを書いているのに伸びない人は、ほぼ全員が同じ勘違いをしている。XやInstagramと同じ感覚でNotesを攻略しようとしているのだ。これは構造的に間違っている。Substackのアルゴリズムは、他のSNSとは目的関数が違う。
ここをきちんと押さえるかどうかで、半年後の購読者数が二桁変わる。今回はその根拠を、Substack社が2025年10月に開示した一次情報をもとに整理する。推測ではない。設計者本人の発言ベースの話だ。
Substackは「滞在時間」を最適化していない
2025年10月27日、Substack公式ブログ「On Substack」が『Demystifying the feed』という記事を公開した。同社の機械学習責任者Mike Cohenが、Notesを含むフィードの設計思想を直接語った内容だ。これがNotesアルゴリズムに関する現時点で最も信頼できる一次情報になっている。
Mike Cohenの発言で核心はこの一文だ。
「他のソーシャルフィードは基本的に滞在時間を軸に動いている。スクロールすればするほど広告が表示され、その広告をクリックさせるのが彼らの目的だ。我々は逆だ。目的関数は『サインアップと購読』に最適化されている」
ここが分岐点になる。XもInstagramもLinkedInも、収益源は広告だ。だからユーザーをプラットフォーム内に留め続けることが最優先になる。一方Substackは、有料購読の手数料(10%)が主要収益源だ。書き手が稼げばSubstackも稼ぐ。だから「書き手が新しい読者を獲得し、その読者が有料購読に至る」ことを最大化する設計になっている。インセンティブの方向が他のSNSと真逆なのだ。
共同創業者のHamish McKenzieも2025年10月の投稿で同じことを別の言葉で言っている。「他のSNSは、あなたを永遠にスクロールさせ続けないと商売にならない。我々はあなたがSubstackを離れて長文記事を読みに行くことを止めない。それでも価値があるから戻ってきてくれる、というモデルだ」
この設計思想の違いを理解せずにNotesを書いても、結果は出ない。
アルゴリズムが見ている要素を分解する
Mike Cohenはユーザー側の処理ロジックも具体的に語っている。Substackアプリを開いた瞬間、アルゴリズムはそのユーザーについて以下を取得する。
地理的位置、使用言語、購読しているニュースレター、フォローしているクリエイター、指定した興味カテゴリ。これらを数値化(ベクトル化)して「あなたは何者か」を表現する。その上で、フィードに何を流すかを決める。
ここで重要なのは、表示されるNotesは「自分が購読・フォローしている書き手のNotes」だけではないという点だ。それと並んで「自分が購読していないが、自分と似た読者を持つ書き手のNotes」が混ぜられる。Substackはこれを「audience overlap(オーディエンスの重なり)」と呼んでいる。
Cohenはこう語っている。「ユーザーが誰をフォローし、誰を購読しているかを起点にする。異なるパブリケーション間でオーディエンスの重なりが見えれば、それは好循環の入り口になる。似た読者層を持つ別の書き手の作品も、そのユーザーに届けられる」
つまりSubstackのNotesアルゴリズムは、「読者のクラスター」を発見し、そのクラスター内で書き手を相互に紹介する機械として動いている。これがXの「拡散」やInstagramの「発見」とは決定的に違う。
Restackが他のSNSのRT・シェアと全く違う理由
Substackには「Restack(再共有)」という機能がある。他人のNotesや長文記事の一部を、自分のフィードに引用する仕組みだ。XのリポストやFacebookのシェアに似ているが、アルゴリズム上の意味は全く違う。
Cohenの発言を引く。「Restackや返信、引用といった行動は、すべてSubstackプラットフォーム上で完結する。だから我々は行動のライフサイクル全体を把握でき、オーディエンスの交差点を見つけ出すことができる」
ここで何が起きているか。
あなたが書き手Aの記事をRestackしたとする。するとアルゴリズムは「あなたと書き手Aは関心が重なっている」と判定する。さらに「あなたをフォローしている読者群」と「書き手Aをフォローしている読者群」の間にも重なりがあると推定する。結果、あなたの作品は書き手Aの読者層に届きやすくなり、書き手Aの作品もあなたの読者層に届きやすくなる。
Restackは双方向の橋を架ける行為なのだ。一方向の「いいね」や「シェア」とは違う。
実際、複数の英語圏Substack攻略者がこの仕組みを検証している。Wes Davis(Escape the Cubicle、購読者15,000人超、本人発表)は2026年2月の記事で「特定の隣接ジャンルの書き手をRestackした日は新規購読者が増えた。検証で再現性が確認できた」と報告している。Sarah Fay(Substack Writers at Work)も「アルゴリズムは自分が他者にエンゲージする行動を、自分がエンゲージを得る行動より重く評価する」と書いている。
エンゲージメントの重み付け順位
英語圏の検証者たちの観察を統合すると、Notesに対するエンゲージメントの重み付けはおおむね以下の順になっている。
第一にRestack。書き手間の関係性シグナルとして最も強い。第二にコメント。会話の発生はアルゴリズムが「価値あるNote」と判定する強い材料になる。第三に保存。後で読み返す行動は深い関心の証拠とされる。第四にいいね。これは最も軽い。いいねが200ついてもコメントが2件のNoteより、いいね20でコメント20件のNoteの方が広く配信される。
ここは日本のSNS感覚で動くと完全に外す。Xでバズる「いいねを稼ぐ」設計はSubstackでは機能しない。会話を起こすNote、Restackされるに値するNoteを設計する必要がある。
3ヶ月目までは結果が出ない構造
もう一つ重要な事実がある。Substackのアルゴリズムは「あなたが誰か」を学習するのに時間がかかる。
Cohenはこう語っている。「我々はあなたがどこにいて、どんな流れの中にいるのかを理解しようとしている」。これはユーザー側の話だが、書き手側にも同じことが起きる。アルゴリズムは「この書き手は何について書く人なのか」「どんな読者と相性が良いのか」を、Notesの投稿履歴とエンゲージメントの履歴から構築していく。
英語圏の検証者の多くが「3ヶ月から6ヶ月、同じテーマで書き続けて初めて配信が伸び始める」と報告している。Wes Davisは「3つのコンテンツ柱を決めて90日間それを守れ」と書いている。Carrie Chen(9-to-Thrive、購読者5,800人超、本人発表)の検証では「1〜3ヶ月目はほぼ配信されない。4〜6ヶ月目に明確な変化が出る。7〜12ヶ月目で指数関数的に伸びる」というカーブが報告されている。
これは日本のSNSで結果が出るスピード感とは違う。XやInstagramは1投稿で人生が変わる可能性がある代わりに、ノイズも多く、燃え尽きやすい。Substackは累積型の資産形成に近い。最初の3ヶ月は「アルゴリズムに自分を学習させる期間」と割り切る必要がある。
今日から運用に落とせる5つの判断基準
ここまでの一次情報と検証データから、Substack Notesの運用判断は以下の5つに集約できる。
投稿テーマを3つに絞り、90日間は変えない。アルゴリズムに「この書き手は何の人か」を学習させるための信号を、揺らさずに送り続ける。
Restackをただの「いい記事への共感行動」と扱わない。隣接ジャンルで読者が重なる書き手を意識して選び、一日1〜2本は意図的にRestackする。これがオーディエンス交差の信号になる。
コメントを設計する。書き手としては「コメントを誘発するNote」を設計し、読者としては「他者のNotesに本気で返信する」習慣を持つ。いいねの100倍の価値がある。
投稿頻度より一貫性を重視する。1日3〜5本投下するより、毎日1本同じテーマで30日続ける方がアルゴリズムは評価する。Substack社のSarah Fay(公式ベータ参加者)も2026年3月の発信で「1日に3〜5本投稿するな。アルゴリズムは自分のエンゲージメントを得ることより、他者にエンゲージすることを重く評価する」と明言している。
3ヶ月で判断しない。3ヶ月目までに「伸びない」と感じても撤退してはいけない。それは設計上、当然のフェーズだ。ここで辞める人が大半だから、続けるだけで残れる。
日本の書き手にとっての含意
ここまで整理した上で、日本のSubstack運用者にとって本当に重要なのはここから先だ。
Substackのアルゴリズムは「言語」も学習要素として明示している。つまり日本語で書く書き手は、日本語の読者クラスターに優先的に届く。これは日本市場でSubstackを使うことの参入障壁を下げる一方、日本人の読者プールが英語圏より圧倒的に薄いという制約も同時に意味する。
つまり日本でSubstackを伸ばすには、英語圏以上に「Restackと相互エンゲージメント」を意識した動き方が効く。読者母集団が小さいぶん、書き手同士のオーバーラップを意図的に作りに行く方が、結果につながりやすい。
そして3ヶ月の助走期間という設計は、日本人気質に合っている。Substackはバズで一発当てる場所ではなく、コツコツ積み上げる人が報われる場所だ。





「90日間、アルゴリズムに自己紹介する」という感覚で見ると、かなり腑に落ちました。
バズ狙いではなく、読者層の重なりを育てる場所なんですね。
Substack、焦ったら負け……ではなく、焦ったらズレる場所ですね♪( ´θ`)ノ
初心者にも分かりやすくとてもためになりましたありがとうございました😊