Substackの購読者を3ヶ月で820名に伸ばした運用ルール。指標はリスタックだけでいい
メールリストのインポートなし、Notesの毎日投稿を一日も欠かさず継続した3ヶ月間の実測記録。Substack公式が明かしたアルゴリズムの目的関数と、英語圏で語られる百日の壁を、自分の数字で検証。
この記事の執筆時点で私のSubstackの購読者数は820になった。2026年5月中旬にゼロから始めて、ちょうど運用開始3ヶ月。少なくとも日本国内のSubstackユーザーの中では、かなり上位の伸び率だと思っている。
ただ、この数字を語る前に、ひとつ前提を整理しておきたい。Substackには、開設直後から数千人、数万人という購読者を抱えているように見える人がいる。その多くは、もともと運営していたメールマガジンの読者リストをSubstackにインポートしているケースだ。Substackは外部で育てたメールリストの持ち込みを公式に認めており、これ自体は正当な戦略である。持ち家であるメールリストを新しい土地に移すのだから、問題があるわけではない。
しかし、それは「Substackの中で購読者を増やした」こととは別の話だ。私の820名は、インポートがゼロ。広告もゼロ。Substackというプラットフォームの内側だけで、3ヶ月で積み上げた数字である。だからこの記事で書くのは、リストを持たない状態からSubstackの中だけで読者を増やす方法だ。純粋にインポートなしで短期間にここまで伸ばした事例は、日本ではまだまだ少ないはずだ。その運用の中身を書いていこう。
指標はリスタックだけでいい。いいねを追わない理由
私はどのSNSでも、極力シンプルに考えるようにしている。SEOでもAI活用でも、可能な限り削ぎ落として、ノウハウを一本の芯にまとめる。Substackにおけるその芯は何か。
リスタックである。
理由は二つある。どちらも推測ではなく、Substackが公式に明言していることだ。
第一の根拠は、公式の定義そのものだ。Substackが公開しているNotes活用ガイドは、リスタックを「投稿、ノート、コメントを自分の購読者に再共有する機能」と定義している。つまりリスタックされた投稿は、リスタックした人の購読者のフィードに再配布されることが、仕様として保証されている。読者が取れるアクションのうち、他人のオーディエンスへの配布が公式に確約されているのは当然だがリスタックだけだ。いいねにもコメントにも、この保証はない。届くかどうかがアルゴリズムの判断に委ねられる領域と、仕様で確約された領域。指標は後者に置くべきだ。
第二の根拠は、設計思想だ。同じ公式ガイドは、書き手が良い作品を薦め合うことで全員が成長する、と明言している。リスタックは偶然生まれた便利機能ではなく、Substackが成長の中核として意図的に設計した推薦の仕組みである。さらに2025年11月には、アルゴリズムを構築した本人が、リスタックのような推薦行動が読者への推薦の学習にどう使われるかを具体的に語っている。この中身は次の章で詳しく書く。(他のSNSのリポストやシェア機能とはやや思想が異なる)
いいねやコメントがつけば嬉しい。それは当然だ。だが、公式が配布を確約し、成長の中核として設計を明言している行動はリスタックであり、いいねについてSubstackはそのような説明をしていない。この二つを同じ「反応」として数えてしまうと、運用の焦点がぼやける。だから私は、目標達成のための指標をリスタック一本に絞った。
Substack公式が明かしたアルゴリズムの目的関数
さらに踏み込んだ根拠がある。2025年11月、Substackはニューヨークで開催したイベントで、Notesのアルゴリズムの設計思想を異例の形で公開した。登壇したのは、アルゴリズムを実際に構築した機械学習責任者のMike Cohenと、共同創業者のHamish McKenzieだ。
Cohenの説明を要約すると、こうなる。多くのSNSのフィードは滞在時間を最大化するように設計されている。ユーザーがスクロールし続けるほど広告が表示され、プラットフォームが儲かるからだ。Notesは逆である。フィードの目的関数は、読者が書き手を発見し、購読し、最終的に課金することに置かれている。滞在時間ではなく、購読という成果で最適化されている。
読者が何かを発見し、購読し、できれば課金する。それがフィードの目的関数であり、その方向へ改善を続けている。Mike Cohen(Substack機械学習責任者)の発言要旨。2025年11月、ニューヨークでのイベントより
そしてアルゴリズムは、読者一人ひとりを、使用言語、地域、購読している出版物、フォロー関係などから数値的な表現に変換し、フィードに何を表示すべきかを判断している。ここで重要なのがCohenのもうひとつの発言だ。異なる出版物のオーディエンスに重なりが見つかると、それが好循環となって、似た読者への推薦に反映されていく。
この仕組みを踏まえると、リスタックの意味がもう一段深くなる。誰かが私の投稿をリスタックするという行為は、アルゴリズムに対して「この人の読者と、あの書き手の読者は重なっている」という信号を送ることになる。信号が蓄積されるほど、アルゴリズムは私のコンテンツを見せるべき相手を正確に学習し、まだ出会っていない読者のフィードに私の投稿を載せるようになる。リスタックは単なる再共有ではない。マッチングエンジンへの学習データなのだ。
同じイベントでMcKenzieは、Substackは書き手が儲かるときにだけ儲かるビジネスモデルだと語り、その時点で直近3ヶ月間にSubstackアプリ経由で発生した無料購読が3,200万件、有料購読が約50万件にのぼり、アプリが従来のRecommendations機能を上回る最大の成長源になっているという数字も示された。Notesはもう実験的な付属機能ではない。プラットフォームの発見装置の本体である。
Notesは毎日、記事は週2回。リスタックがつくまで一投稿と数えない
では、実際に私が何をやってきたか。基本の型は単純だ。Notesは毎日投稿、記事は週に2回投稿。そしてこの数字を、目標ではなく最低限のラインとして扱う。
Notesに関しては、2026年5月の開始から今日まで、一日もサボったことがない。必ず毎日投稿している。この最低限のラインだけは、始めたときから一度も崩していない。(しかしながら、ここでの1日は暦ではなく、起きてから寝るまで)
ただし、ここに私独自のルールがひとつある。リスタックがつかない限り、その投稿を一投稿と数えない。つまり、リスタックがつかなかった投稿は失敗である。腑に落ちた、共感した、これは自分の読者にも見せたい。読者がそこまで動いて初めて、その日の投稿が成立したと考える。だから、一本目でリスタックがつかなければ二本目を出す。二本目でもつかなければ三本目、四本目を出す。リスタックがゼロのまま一日を終えない。この基準で3ヶ月運用してきた。
実際には、ほとんどの場合、一本目の投稿でリスタックをつけていただけている。それは投稿の品質が読者の共感に届いていた証拠だと受け取っているが、重要なのは結果ではなく設計のほうだ。「毎日投稿する」という行動目標だけでは、投稿すること自体が目的化する。「毎日リスタックを一つ獲得する」という成果目標に置き換えた瞬間、毎回の投稿に品質の基準線が引かれる。自分が納得し、読者も納得する水準のコンテンツでなければ、その日のノルマは終わらないからだ。
一方で、高品質にこだわりすぎると時間ばかりかかる。だから同時に、コンテンツの執筆に時間はかけないと決めている。何分が適切かは人によって違うので、ここで具体的な数字は言わない。基準はひとつだけだ。自分が苦にならない時間に収めること。投稿自体が苦役になったら、毎日投稿など絶対に続かない。楽しみながら、反応をもらって素直に喜びながら、やれる範囲でやる。それが結果として一番強い。
白状すると、私にはかなりのサボり癖がある。3ヶ月間、一日も休まずNotesを投稿し続けたというのは、自分でも信じがたい。続いた理由は根性ではない。いただくコメント、いいね、そして何よりリスタックを報酬として受け取り、その喜びを翌日の投稿の燃料に変換する回路ができていたからだ。習慣は意志ではなく報酬設計で決まる。
百日の壁は実在するのか
もうひとつ、私の運用を支えた考え方がある。英語圏のSubstackユーザーの間で語られる、百日論だ。
ひとつのテーマ、ひとつの専門性で発信を続けていると、100日前後でアルゴリズムがその専門性を理解し、コンテンツを見せるべき相手に見せるよう最適化されていく。コンテンツマッチの精度が上がるから、とにかく100日は続けろ。私は英語圏のサブスタッカーたちをフォローしているが、この主張は特定の誰かの説ではない。フィードを眺めていれば、複数の発信者による同じ趣旨の投稿が、何度も何度も流れてくる。それくらい、あちらでは共有された感覚になっている。
断っておくが、これはSubstackが仕様として公開している数字ではない。ただ、周辺の根拠は揃っている。英語圏でNotes戦略を発信し続けているある書き手は、最初の50本から100本のNotesはアルゴリズムにとっての学習データであり、書き手のオーディエンスが誰で、どのトピックを専門とし、継続的に投稿する人間かどうかを、その期間にアルゴリズムが学習していると分析している。毎日投稿するなら、50本から100本はほぼ50日から100日に一致する。そして多くの人は開始30日から60日、つまり反応の薄い学習期間の途中で投稿をやめてしまう。複利が効き始める直前で降りるのだ。前述のCohen自身も、書き手がどういう投稿のフローにいるのかを理解しようとしている、と発言している。継続の履歴そのものが、アルゴリズムへの入力なのである。
そして私自身の実測。その変化に気づいたのは、ベトナム滞在時。2026年8月初旬、ホーチミン、ブンタウと旅している途中の数日間。ちょうど運用3ヶ月を過ぎ100日の迫るあたりだ。移動の合間に確認する購読者数の伸びが、それまでとは明らかに違う。1日3〜4人だった増加が、1日で2桁伸びる日が普通に出るようになった。
「ついに来たか!」とニヤけてしまった。コメント欄を開くと、これまで一度もコメントをくれたことのない、見慣れない新規ユーザーの名前が並び始めている。既存の読者に深く読まれている状態から、まだ私を知らなかった読者に届き始めた状態への切り替わり。数字とコメント欄の両方が、同じ変化を示していた。英語圏で言われていた噂は本当だったのだと、旅先で実感した。100日でアルゴリズムの最適化が進むという話は、少なくとも私のデータにおいては、リアリティのある話だ。
この英語圏発の情報を聞いてから私は、開始時点から、100日に到達するまでは、毎日投稿をやめない!ということだけを強く決めていた。ノウハウの精度を上げる前に、まず学習期間を生き延びる。反応が薄い時期の投稿は無駄になっているのではなく、アルゴリズムに自分の専門性を教えている。この認識があるかどうかで、最初の3ヶ月の心理的な重さはまるで違ってくる。
いまのSubstackで、誰に向けて書くのか
最後に、リスタックが毎日つく品質のコンテンツを作り続ければ、いまのSubstackなら購読者は右肩上がりで伸びていく。私はそう考えている。ただし条件がある。需要のあるテーマであること、そして現在のSubstackのユーザー特性を見ていることだ。
いま日本語圏のSubstackに参加してきている中心層は、テキスト文化の中で力を蓄えてきた人たちだ。ブログやメールマガジンといったテキスト媒体で読者との関係を築いてきたインフルエンサー、そのフォロワー、そのメルマガ読者。長文を読むことに慣れ、書き手を人として選ぶことに慣れた層である。この層がいま、Substackの中で最も力強い読者層を形成している。
この人たちがどんなコンテンツを望むのか。どんな切り口ならリスタックという行動まで動くのか。深く分析するまでもなく、テキストを読み込んできた人たちに向けた発信なのだという意識を持つだけで、投稿の質は変わる。彼らは、薄い情報の羅列にはいいねすら押さない。だが、自分の読者にも見せたいと思える濃度の一撃には、迷わずリスタックを押す。リスタックとは、読者が自分のフォロワーに対して行う推薦である。推薦に値するかどうか。毎日の投稿は、その審査を受け続ける行為なのだ。
3ヶ月の運用でわかった実践知を、ここにひとつ足しておく。リスタックには重さの違いがある。同じテーマを深く追っている玄人が押すリスタックと、初心者層が押すリスタックとでは、一つの持つ意味がまるで違う。そのうえで、単純にリスタックの数を取りに行くなら、つきやすいのは初心者向けの投稿だ。
ただし誤解しないでほしい。初心者向けとは、どこにでも書いてある一般論の薄いまとめのことではない。あれには初心者すらリスタックを押さない。初心者に向けて書きながら、その中身には自分自身の経験からしか出てこない深みがあること。検索、SEOの世界でのE-E-A-T要素と、構造は完全に重なる。経験に裏打ちされた初心者向け。数を最大化する投稿の型は、これだ。
運営がリスタックを成長の中核として設計し、アルゴリズムの責任者が購読を目的関数だと明言し、英語圏の実践者たちが学習期間を生き延びろと言い、私の3ヶ月の実測がそれをなぞった。やるべきことは、もう複雑ではない。Notesを毎日出す。記事を週2回出す。そして、リスタックがゼロのまま一日を終えない。
820名という数字は、この単純なルールを100日間、一日も破らなかった結果である。難しいのはノウハウの理解ではない。リスタックが一つつくまでその日を終えられない、と自分に決めることのほうだ。







