Substackのアカウントは、ある日いきなり消える可能性がある
規約における許諾範囲と、アカウント停止前に必ず行うべき3つの準備
英語圏のSubstack書き手のコミュニティでは、定期的に「アカウントが突然停止された」という報告が流れてくる。読者リストにアクセスできない、appealを送っても返信がない、何が違反だったのか説明もない。書き手はある日突然、半年や1年かけて積み上げた読者との接点を失う。
これは英語圏だけの問題ではない。Substackは規約上、こうした停止をいつでも実行できる。日本の書き手が知らずに使っている裏側で、同じ構造が動いている。
Substackの規約が許していること
Substackの利用規約には、次の意味を持つ条文がある。原文では「Substack is free to terminate (or suspend access to) your use of Substack, or your account, for any reason at our discretion」と書かれている。日本語にすると「Substackは、いかなる理由でも、当社の裁量で、あなたのSubstack利用やアカウントを停止する自由を持つ」だ。
書き手が事前同意するこの条文は、Substack側に絶対的な裁量権を与えている。違反内容の説明義務はない。事前通知の義務もない。appealへの返信義務もない。これは多くのSaaSプラットフォームに共通する標準的な条文で、Substackが特別に厳しいわけではない。
ただし、書き手側がこの構造を理解せずに使うと、リスクは見えなくなる。「自分のメールリスト」と思っていたものが、実は「Substackに預けたメールリスト」だ。その違いは平常時には見えない。アカウントが止まった瞬間に、決定的な差として現れる。
アカウント停止された時に何が起きるか
英語圏のSubstack書き手フォーラムや、X上の停止報告を読むと、停止された瞬間に起きる連鎖が見えてくる。
最初に起きるのは、管理画面へのアクセス遮断だ。subscriber listのCSV書き出し画面にもアクセスできない。読者一人ひとりのメールアドレスを書き手は持っていない状態になる。
次に、過去に配信した記事の表示も止まる。記事ページが「This Substack has been removed」のような表示に変わる。それまで読者と築いてきたアーカイブが、外から見えなくなる。
そして、appealを送ることはできても、返信がいつ来るか、そもそも来るかは分からない。「数週間待った」「何度送っても返事がない」という報告が、英語圏では珍しくない。Substackの判断が覆る場合もあるが、覆らない場合もある。覆らない場合、書き手は読者との接点を完全に失う。
ここに、Substackを使う時の最大のリスクが集約されている。「自分のメールリストを失うリスク」だ。
なぜ停止判定が起きるか
Spam & Phishingに対するSubstackの判定は自動化されている部分が大きい。自動判定の典型的なトリガーは三つある。
一つは、短期間での過剰な配信。新規アカウントが立ち上げ直後に大量の読者にメールを送ると、システムが警戒する。
二つ目は、外部リンクの構成。同一ドメインへのリンクを高頻度で配信していると、affiliate spamと判定される可能性がある。
三つ目は、購読者の挙動。多数の読者が「迷惑メール」報告を入れると、書き手側のメール配信reputationが下がり、停止判定の入力になる。
問題は、書き手が「正常な運営」と思っている行動も、自動判定の文脈では違反と読まれることがある点だ。新規読者の急増、関連アフィリエイトリンクの掲載、配信頻度の急増。意図的な悪意がなくても、システムが警戒すれば停止に向かう。「身に覚えがない停止」の多くは、書き手の意図ではなく自動判定の構造から生まれる。
アカウント停止される前に済ませる3つの準備
停止が起きた後では、できることはほぼない。だから、平常時のうちに準備を済ませておく。具体的に三つある。
第一に、subscriber listを月1回CSV形式で書き出してローカルに保存する。Substack管理画面のSettings > Import/ExportからCSVを生成できる。月1回、5分の作業だ。ローカルのフォルダとクラウドストレージの両方に置く。ファイル名はsubscribers_2026-05.csvのような日付付きにして、月ごとの変化が見えるようにする。停止が起きた瞬間でも、自分の手元には最新のリストが残る。
第二に、Welcome emailの中に、自分の独自ドメインのメールアドレスを必ず明記する。「このメールは私が直接読みます。返信していただければ私から返事します」と書いておく。これによって、Substack外で読者と直接連絡が取れる経路が生まれる。読者の何割かは、実際に独自ドメインのメールアドレス宛に返信してくる。その返信を別の場所に保管しておけば、Substack上のリストとは別の、書き手所有のリストになる。
第三に、配信した記事のローカルバックアップを習慣化する。記事を書き終えてSubstackに投稿した後、同じテキストを自分のローカルフォルダ、またはNotion、Googleドキュメントなどに保存する。1記事3分の追加作業だ。半年で50記事、1年で100記事。これがあれば、アカウント停止後も自分の知的資産は失われない。WordPressや独自ブログに過去記事を移植することも可能になる。
この三つを、いま立ち上げ直後の段階から習慣にする。半年経って読者が増えてからやろうとすると、整理コストが膨大になる。最初の30本までに習慣化すると、その後は無意識でできる
。
Substackを使い続けるが、依存はしないという設計
ここまで読んで、Substackを使うことに不安を感じる書き手もいる。それは違う。
Substackは英語圏で実証された、メール配信プラットフォームとして優秀な選択肢だ。私自身、ここで配信を始めている。Substackを否定する記事ではない。
伝えたいのは、「使い続けるが、依存はしない」という設計の話だ。
Substackに記事を出す。同時にローカルにも保存する。subscriber listはSubstack上に蓄積される。同時に月1回ローカルにも書き出す。読者との直接の連絡経路はSubstack上のメッセージ機能で動く。同時に独自ドメインのメールアドレスでも動く。
二重に持つ。これだけで、停止リスクの大半は構造的に消える。停止されても、自分の手元にはリストと記事が残る。別のプラットフォームに移って配信を続けることができる。
私自身は、SubstackとWordPressを並行運用している。Substackは英語圏読者層と海外発見、WordPressは検索エンジンからの流入と完全所有資産。役割を分けて両方を使う。仮にSubstackが停止されても、WordPress側の資産は無傷で残る。もちろん独自のメールマガジン配信システムも持っている。
これは過剰防衛ではない。インターネットインフラを使うときの基本姿勢だ。
私はプラットフォーム依存の危険性について、身をもって経験している
私とお付き合いの古い読者の方はご存知かと思うが、私は過去に何の規約違反もしていないにもかかわらず、いきなり3,000,000PV/月 のアメブロを問答無用で削除されたことがある。本当に何か規約に反していたりとか悪さをしていたわけでもないのに、突然消されたと言う状況だからといってこれを運営側に何かを訴えたところで、一切返信は無いだろう。その経験から、プラットフォーム依存と言うことの危険性を身をもって理解できた、学ぶことができた、と思っている。
「自分のリスト」という言葉の意味
メール配信を始めると、書き手はよく「メールリストは自分のもの」と聞かされる。SNSのフォロワーと違って、リストは書き手の所有資産だ、と。
これは半分正しく、半分嘘だ。
書き手所有のリストとは、「自分のPCに、CSVファイルとして保存されている状態」を指す。Substackの管理画面でログインして見られる状態は、まだSubstack所有のリストだ。書き手はそこに「アクセス権」を持っているだけで、「所有」しているわけではない。アクセス権は、停止される。所有は、消されない。
この違いを、書き手は早い段階で理解する必要がある。
月に1回、5分かけてCSVを書き出す。ローカルに保存する。それを習慣にした瞬間、初めて「自分のリスト」になる。
私のクライアントには、Substackで配信を始めるなら必ずこの習慣を作るよう伝えている。リスト300人で始めるならcost ofほぼゼロ、リスト3万人になってから始めようとするとcostは高い。最初に作る習慣だけが、続く習慣になる。
今日のうちに、subscriber listのCSV書き出しを一度実行しておく。これが、いま読んでいるあなたが、Substackと長期的に付き合うための最初の一手だ。





どんなメディアでも、母体がある限り起きうることですよね。私は別の理由から必ずエディターで作ってから投稿しますが、直接書いているひとは本当に保存が大事ですよね。しかし、メアドの月末エクスポートは絶対大事!!習慣化したいと思います!
有益な情報ありがとうございます。
最近はAI判定で意図していないところでいきなりBANになる可能性もあるので、最初から対策しておくことが大切ですね。