台湾、たぶん七十数回目
17年通い続けて観光名所を答えられない。夜市の滷味と小番茄夾烏梅、行きつけの小吃店、そして到着した瞬間のあの匂いについてなどなど
もう正確には数えられない。台湾への渡航回数の話である。パスポートをさかのぼって数える気力はとうにない。おそらく七十数回目くらいだろうと思う。
台北、新北、桃園、新竹、台中、嘉義、台南、高雄、屏東、墾丁。西側、南側の街にはほとんど行った。台湾は島の中央に大きな山脈が走っていて、発展しているのは西側である。東側は交通の便もよくない。花蓮までは行ったが、台東には行っていない。七十回以上も通って、まだ行っていない街がある。それが台湾という島の広さでもある。
※ちなみに九州と同じくらいの面積だ。
選ぶのが面倒くさい
なぜ七十数回も行くのか。理由を説明しようとすると、毎回同じところで止まる。
どこか旅行に行こうと思う。じゃあ今回はどこにしようかと考える。その瞬間に、もう面倒くさくなっている。他の場所を検討するという作業そのものが面倒くさい。旅好きだが移動嫌いの私は、長時間飛行機に乗りたくない。そうなると台湾でいいじゃん。毎度この調子である。それぐらい好きになってしまっている、ということなのだろう。
ベトナムや香港など、別の国に行った帰り、台湾を経由して数泊してから日本に戻ることもよくやる。そのとき台北に降り立つと、ほぼ帰宅した感覚になっている。旅の途中なのに、家に着いた気分でいる。他の場所で少々感じている異国の不安は微塵も無い。
もちろん台湾中国語がペラペラなわけではない。夜市の買い物に困らない程度には話すが、その程度である。それでも顔見知りがいて、行きつけの店がある。正直に言えば、東京の西側の街より、台北のことのほうがよほど知っている気がする。
観光をしない
これだけ通っていながら、観光をほとんどしない。「落合さん、台湾によく行ってるんですよね。いい観光地を教えてください」と言われると、ベタなところしか答えられない。七十回通って、答えがガイドブックの一ページ目と同じである。
じゃあ何をしに行っているのか。飯を食いに行っている。ただそれだけの気がする。
飯と言っても、それほど美食を追い求めているというわけでもない。毎度ホテルでだらだらして、昼や夜になったら近くの小吃店に行く。個人でやっている小さな食堂である。そこで飯を食う。そうでなければ夜市である。
ただそれだけのことを、台湾に通うようになってから十七、八年、ずっと続けている。あとは好きなアーティストのライブに行く。目的と呼べるものは、それくらいしかない。
この一年で数えてみたら、すでに七回来ていた。次に多い渡航先はベトナムで、この一年で四回。香港にも行く。それでも台湾の回数が圧倒的に多くなってしまう。
飽きないのかと言われれば、飽きている。はっきり言って飽きている。それなのに、どこに行こうかなとウェブを眺めていると、最終的には台湾にしようかな…となっている。自分でもよくわからない。
沙茶鍋と滷味と、小番茄夾烏梅
何が好きかはそのときによって全然違うのだが、鍋は好きだ。沙茶鍋や、臭臭鍋。それから夜市の飯。ベタではあるけれど、夜市でお茶を買って、滷味(台湾の煮物)を買って、排骨酥(豚の唐揚げ)をつまむ。小番茄夾烏梅(ミニトマトに砂糖漬けの梅を挟んだもの)も、よく食べる。菱角も好きだ。グァバは台湾産が一番美味いと思う。釈迦頭もよく買うね。
※全っ然酒も飲まない。飲めないわけではない。飲まないのだ。
滷味は台北、正確には新北市に行きつけの屋台がある。鍋は高雄にも行きつけがあって、老板(店主)と「また来てくれたね」と手を触れて挨拶するくらいの関係性にはなっている。有名店ではない。街中の、小さな食堂である。
そもそも並ぶのが嫌いなので、超人気店には一切行かない。有名店もほとんど行かない。一人旅が多いから、クロスのかかったレストランもほぼ行かない。比較的お気に入りだなという街の食堂に、通い続けているだけである。
正直、当たり外れは日本で食べるより大きい。ただ、当たったときは本当においしい。そして当たりの多くは、日本ではまず食べられない味である。グァバひとつ取ってもそうだ。日本でグァバの果実をそのまま食べられる機会が、どれだけあるだろうか。ジュースなら飲める。でも果実は食べられない。滷味もそうだ。日本では食べられないものを食べるために来ている。そういうことなのだと思う。
日本の「台湾料理」への違和感
台湾にあまり行かない人からすると、台湾料理といって想像するのは魯肉飯や牛肉麺だろう。あとは大鶏排、小籠包。日本で開かれる台湾フェスに行くと、だいたいこのあたりが並んでいる。あとは地瓜球かな。
ただ、あれを現地台湾で食べると、味が全然違う。日本で出される魯肉飯も牛肉麺も、なんか違うなという印象しかない。鼎泰豊で食べれば台湾と同じ味に会えるが、台湾フェスの屋台や、台湾料理の専門店ではない街のレストランで出てくるものは、別物である。八角の効きも甘い。とにかく日本にいるとちゃんとした台湾料理が食えない。
考えてみれば不思議な話である。タイ料理もベトナム料理も、日本でいくらでも食べられる。それなのに、台湾料理を食べられる店が日本にはほとんどないのだ。鼎泰豊はあるけれど、あれは台湾料理店というよりも小籠包屋だ。(最高に美味いけれど)赤坂の三商巧福には結構な頻度で行く。でも、あれも日本国内で赤坂に一店舗あるだけでしょう。その程度である。他にないのだ。
もっと言えば、日本の地方都市のロードサイドに「台湾料理」の看板を下げて、ラーメン、チャーハン、餃子を出す店があるだろう。あの形態の店を、台湾で見かけたことがない。あれは台湾料理ではない。いわゆる街中華である。経営しているのも台湾人ではなく中国人だという話もよく聞く。なぜあれが台湾料理の看板を掲げるのか、私にはよくわからない。
到着した瞬間の、あの匂い
大きな刺激は、もう台湾にはない。七十回も来ていれば当然である。それでも、台湾に降り立って一番最初に鼻を通る匂いがある。あれがどこか好きなのだと思う。
あの匂いの正体を、私はうまく説明できない。八角の匂いではない。食べ物から来ている匂いなのだとは思うが、何とも言えない、心地よく落ち着く香りとしか言いようがない。ベトナムとも違う。インドネシアとも違う。マレーシアとも、香港とも違う。他のどこにも似ていない、台湾だけの匂いである。
台湾人はあの匂いに気付いているのだろうか。
それとも、日本から来た人間だからこそ感じられる匂いなのだろうか。そこはわからない。ただ、あの匂いを吸い込んだ瞬間に、ああ着いたなと思う。相性がいいのだろう。理屈はそれ以上組み立てられない。
だから、台湾に来てしまう。そして今日も台湾にいる。高雄にいる。










台湾大好きです🇹🇼
少ないですが3回行き、高雄、台南はまだなので必ず行きます。
年1回は行きたいと思える場所です。
スゴいっすね
もう半台湾人と言っても過言ではない😅
確かに各国匂いがありますね
韓国も唐辛子っぽい匂いがする
上海や北京も砂と香辛料が混じった様な匂いがする😅