日本でサブスタックを始める人が、最初の30日で必ず直面する4つの「分岐点」
サブスタック最初の30日をどのような運用するか?を成功事例に学ぶ
サブスタックを始めて最初の数日から1ヶ月の間、あなたは必ず4つの判断を迫られる。
操作上の判断ではない。「どう運用するか」という方針レベルの判断で、ここで選んだ道が半年後・1年後の購読者数とビジネス成果を決定づける。やり直しが効かないわけではないが、初期に間違った道を選ぶと、軌道修正に数ヶ月の遅れが生じる。
今日のニュースレターでは、その4つの分岐点と、英語圏で成功しているサブスタッカーが実際にどう判断しているかを示しながら、私ならどう選ぶかを書いていく。
レニー(Lenny Rachitsky)が運営するLenny’s Newsletterは2026年時点で120万人を超える購読者を持ち、サブスタック全体でもトップクラスの規模だ。彼は購読者数のマイルストーンごとに「自分が何をしたか」を公開する習慣を持っていて、その記録が初心者にとって最も信頼できる教科書になる。今日の話には、彼の事例も随所で引いていく。
分岐点1 無料で始めるか、有料設定を最初から入れるか
これが最初の分岐点だ。サブスタックは公開ボタンを押す前に「有料プランを設定しますか」と聞いてくる。多くの初心者がここで手が止まる。
英語圏の傾向から先に言う。レニーは2019年8月にサブスタックを始めて、最初の9ヶ月間は完全に無料で運営した。月単位で言えば9ヶ月、週次配信なので40本前後の記事を、すべて無料で出し続けた。彼が有料プランを導入したのは、無料購読者がある程度の規模に達した後だ。月15ドル、年150ドル、企業経費利用向けに年300ドルという、現在も継続している3段階の価格設定をその時点で組んだ。
レニー以外のトップ層も、ほぼ全員が同じパターンを取っている。最初の数ヶ月は無料で配信し続け、読者層の輪郭が見えてきた段階で有料を入れる。なぜか。理由は2つある。
1つは、有料を最初から設定すると、無料購読者が育つ前にハードルを作ることになり、そもそもリストが太らないからだ。サブスタックの本質は推薦機能とNotesによるネットワーク効果なので、無料購読者が一定数に達するまでは「いかに広く拡散するか」が最優先になる。
もう1つは、有料化のタイミングで「何を有料コンテンツにするか」の判断材料が、最初の数ヶ月の反応データから得られるからだ。読者がどの記事に強く反応し、どの記事のコメントが活発だったかを見て、有料コンテンツの方向性を決めるのが英語圏の標準的なやり方になっている。
私の判断はこうだ。最初の3ヶ月は無料で運営する。週1回のペースで12本程度を出し切る。その時点で購読者の反応データを見て、「ここに金を払う読者がいる」と判断できれば有料を入れる。判断できなければさらに3ヶ月続ける。サブスタックは長期戦のプラットフォームで、最初の半年は土台作りに使う前提を持つ方がいい。
ただし例外がある。すでに既存の有料コンテンツ(オンライン講座、有料コミュニティなど)を持っていて、サブスタックをその販売チャネルとして使うのが明確な場合は、最初から有料を入れていい。この場合は「無料購読者を育てる」のではなく「既存顧客を移行させる」運用になるので、別の話になる。
分岐点2 既存のメルマガ・noteから移行するか、並走させるか
すでにメルマガやnoteで発信している人ほど、ここで悩む。全部サブスタックに移すべきか、それとも既存資産は残したまま並走させるか。
英語圏では「並走が標準」だ。レニーも、最初はMediumに記事を書きながらサブスタックを並行して運用していた。Mediumで記事を出し、Twitterで要約を投稿し、興味を持った人をサブスタックに誘導するという流れを長く続けた。彼が最初の100人を獲得した経路は明確で、Mediumに書いた1本の記事がTwitter上で話題になり、そこから自分のニュースレターを告知して購読を獲得した、という流れだった。
つまり既存の発信チャネルを「入口」として使い、サブスタックを「リスト化の終着点」として使う構造だ。これが英語圏の鉄則になっている。
なぜ並走が正解か。理由は明確で、媒体ごとに読者の温度感が違うからだ。X(Twitter)は気軽な発見の場、note・Mediumは長文を読み込むための場、メルマガ・サブスタックは深い関係性を築く場、というように役割が分かれている。これを1本に統合しようとすると、各媒体の特性を活かしきれない。
私の判断はこうだ。既存のnoteやメルマガはそのまま継続する。サブスタックは独立した媒体として新規で立ち上げる。ただしコンテンツは完全に分ける必要はなく、noteで反応の良かったテーマをサブスタック向けに深掘りして書き直す…のような連動はやる。
注意点を1つ。既存メルマガの読者リストをサブスタックに「強制移行」させるのは避けた方がいい。メルマガで信頼関係を築いた読者は、メルマガの形式に同意してくれている人たちで、サブスタックという別のサービスに勝手に移されることに抵抗を持つ人がいる。移行ではなく「サブスタックでも書き始めました、よければこちらも」という案内にとどめる。
分岐点3 Notes(サブスタック内SNS)をどう使うか
サブスタックを始めた人がまず操作画面で目にするのが、本体記事の編集画面とは別にあるNotesという短文投稿機能だ。これをどう使うかで、半年後の購読者数が一桁違ってくる。
英語圏での重要性を数字で示す。2025年に複数のトップサブスタッカーが公開したデータでは、新規購読者の獲得経路の60%以上がNotes経由になっている。あるサブスタッカーは半年で11人から5800人以上に成長し、そのほぼすべてがNotesからの流入だったと報告している。レニー自身も、サブスタック全体の成長を加速させた要因として推薦機能と並んで、書き手同士のネットワーク的な動きを挙げている。
Notes運用の英語圏での標準パターンはこうだ。1日に5本前後のNotesを投稿する。ただし「自分の記事を宣伝するNotes」だけを連投するのは逆効果で、推薦アルゴリズムから外される。標準的な配分は、自分のオリジナルの短い思考を2本、他の書き手の投稿への引用コメント(restack)を2本、自分の記事への誘導を1本、という比率になる。
ある英語圏のサブスタッカーが2025年に最も多くの購読者を獲得したNotesは、技術的なノウハウでも自分の記事の宣伝でもなく、「あなたのサブスタックの規模に関係なく、ここに貼ってください。私が全員のサブスタックをチェックしに行きます」という1本の投稿だった。これが1400いいね、1000コメント、650人の新規購読を生んだ。Notesで効くのは「他の書き手への関心」と「読者との会話の起点」であって、「自分の宣伝」ではない。
私の判断はこうだ。Notesは1日2〜3本のペースで始める。最初の1ヶ月は自分の宣伝Notesは一切やらず、他の書き手の投稿への引用コメントと、自分の専門領域に関する短い思考の投稿だけで運用する。これで1ヶ月走った後、購読者がある程度集まってから自分の記事への誘導を混ぜていく。
最初に「自分の記事を読んでください」を連発すると、サブスタックの中で「無理筋な人」というポジションが固定される。これを後から覆すのは難しい。最初の30日のNotes運用は、長期的なポジショニングを決める作業だと考えた方がいい。
分岐点4 最初の100人の購読者をどう集めるか
これが最大の関門だ。0から10人までは個人ネットワークで何とかなる。だが10人から100人の壁は、多くの初心者がここで挫折する場所になっている。
英語圏での実例を3つ並べる。
レニーが最初の100人を獲得したルートは明確だ。彼はサブスタック立ち上げ前にAirbnbでの経験を1本のMediumの記事にまとめて公開した。その記事がTwitter上で広がり、フォロワー数が増えた段階でニュースレター開始を告知し、最初の100人を取った。つまり「すでに反応の取れる場所で1本のヒット記事を出してから、サブスタックに送り込む」という戦略だ。
別のサブスタッカーは、自分の既存ネットワーク(LinkedIn、メールアドレス帳、過去の同僚)に1人ずつ個別メッセージを送り、最初の100人を獲得した。「最初の100人で最も効いたのは、機械的な拡散ではなく、1対1の個別連絡だった」とこの人は書いている。
3人目の事例として、Notesでの「他者への関与」だけで100人を集めたケースがある。この人は最初の3ヶ月間、自分の記事は週1本だけ公開し、残りの時間はすべて他のサブスタッカーの投稿に質の高いコメントを書くことに使った。コメントから書き手のプロフィールを見て興味を持った人が、こちらに流入してくる構造だ。
この3つの実例は、全員に共通する1つの原則を示している。それは「最初の100人は『すでにあなたを知っている人脈』か『他の書き手の読者を借りる』のどちらかでしか集まらない」ということだ。サブスタック単体で広告も推薦もない状態で100人集めるのは、現実的にはほぼ不可能だ。
私の判断(認知度ゼロからやるなら)はこうだ。日本でサブスタックを始める場合、最初の100人は次の3経路のミックスで取りに行く。第1に、既存のメルマガ読者やnote読者に「サブスタックでも書き始めました」と告知する。第2に、自分の既存ネットワーク(過去の取引先、勉強会の仲間、SNSのフォロワー)に1人ずつ個別メッセージを送る。第3に、自分が読みたい英語圏・日本のサブスタックを30本ほど購読して、毎日それらにコメントを残す。
この3経路を3ヶ月続ければ、ほぼ確実に100人には届く。逆に「いい記事を書けば誰か読んでくれるはず」と待っているだけでは、100人には絶対に届かない。サブスタックも他の媒体と同じで、最初の100人は人力営業を含めた形で獲るのが最効率だ。
最後に
4つの分岐点をまとめると、最初の30日は次のような運用になる。
無料で始めて反応データを集める。既存媒体は止めずに並走させる。Notesは他者への関与中心で1日2〜3本。100人獲得は人力営業の3経路で取りに行く。
これは英語圏のトップ層が共通して通ってきた道で、レニーが120万人に到達した経路の最初の部分でもある。
日本ではまだサブスタックの本格運用例が少ない。だからこそ、英語圏で5年・10年かけて検証された型を、最初の30日に持ち込むだけで大きな差がつく。
次回のニュースレターでは、この30日を超えた先で考えるべき「日本市場特有の論点」を書いていく予定だ。日本語のニュースレターで有料を取る難易度、推薦機能を日本人書き手同士でどう循環させるか、Notesを日本語コンテンツでどう運用するか、といったテーマだ。
今日の内容で1つでも参考になる判断材料があれば、ぜひコメント欄で「自分はこう判断した」を聞かせてほしい。あなたの判断が、後から始める読者の参考になる。




素晴らしい記事です。目から鱗です。黙々とクリエイティブしてただけなのでこういった知識は何より大事です。ありがとうございます。フォロー購読させて頂きます。
すばらしい記事をありがとうございました!
サブスタを始めて10日目。登録者が10人になったところで、この先をどうしようかと考えていたところでした。
海外の例を教えていただき、それに解説をつけてくださって感謝です。
私がした小さなことをご報告します。今朝、FBのストーリーズにサブスタの私の記事のURLを何気なく貼ってみたんです。そうしたら、いいね、フォローをとびこえて一気に登録してくれる人が複数でてきました。落合さんの教えを実行していた自分をちょっとほめてやりたいです。
今持っているリザーブストックのメルマガをどうしようかと思っていましたが、落合さんの教えに従い、
そちらも誠実に読者に送り続けようと思います。
これからもよろしくお願いいたします。